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各学年から

お昼の放送から

毎日放送委員会がお昼の放送を行っています。

今日は、浦島太郎の朗読と、今日は何の日?でした。火曜日に出されたつばさ学級からのクイズの答えも来週放送予定だそうです。楽しみですね。

放送委員会は、わかりやすい放送を心がけて放送してくれていますが、今日はその内容から。

 

〇浦島太郎

むかしむかしのお話しです。あるところに、浦島太郎(うらしまたろう)というおとこが、さかなをとりながら、としおいたおっかさんと二人でくらしていました。

ある日、太郎は、はまべで子どもたちが一匹(いっぴき)の子ガメをつっつきまわしているのを見たので、たすけて海へとにがしてやりました。

それから何ねんかして、太郎が海でつりをしていますと、大きなカメがやって来て、「むかしたすけてくれたお礼(れい)にどうぞわたしのせなかへ」と言って、太郎をせなかにのせると、海の中の竜宮城(りゅうぐうじょう)へとつれていってくれました。竜宮城では美しいおひめさまにかんげいされ、魚たちの踊(おど)りや、おいしいごちろうでもてなされ、それはそれは楽しい毎日をすごしました。

しかし何日かたつと太郎は、村に残(のこ)してきたおっかさんのことが気になって気になって、だんだん元気がなくなってきました。それをみたひめさまは、「村に帰って、もし困(こま)ったことがあったら、この玉手箱(たまてばこ)を開けてみてください。」と言って、太郎を送(おく)り出しました。

太郎がカメのせなかに乗(の)って村に帰ると、自分の家はおろか、村の様子(ようす)はすっかりかわってしまっていて、太郎がしっている人は一人もいなくなっていました。じつは太郎が竜宮城で過(す)ごしているうちに、地上では何十年もたっていたのでした。これにこまりはてた太郎は、ふと、ひめさまにもらった玉手箱のことを思い出しました。

さぁ、ふたを開(あ)けてみると……

 

中から白い煙(けむり)がもくもくと出てきて、それをあびた太郎はたちまち白いおひげのおじいさんになってしまいましたとさ。 おしまい。

 

【今日は何の日】

〇奴隷解放宣言(どれいかいほうせんげん)

 

アメリカ合衆国(がっしゅうこく)大統領(だいとうりょう)リンカーンが南北戦争(なんぼくせんそう)中の1863年に出した布告(ふこく)で、1863年1月1日の時点(じてん)でアメリカ合衆国に対して反乱(はんらん)状態(じょうたい)にある南部の奴隷(どれい)は、ただちに解放(かいほう)するとした宣言(せんげん)です。

運動会の練習

どの学年もですが、1年生もがんばって練習をしています。本番が近づいてきて、どんどんじょうずになっていきますね。

 

2年生も、しんけんに取り組めていますね。

 

【今日は何の日】

〇国際平和デー

コスタリカの発案により1981年(昭和56年)の国連総会で制定されました。英語表記は「International Day of Peace:IDP」といいます。

今も世界で戦争が行われていますが、2002年からこの日は「世界の停戦と非暴力の日」として実施(じっし)され、国連は、この日一日は敵対行為を停止(ていし)するよう全ての国・全ての人々に呼びかけています。

日本語教室から

それぞれの進度に合わせて学習を進めています。

学習の進め方も全員で授業することもあれば、個々の進み方によってやることが違うこともあります。みんな一生懸命に取り組んでいます。

 

文字ブロックを使って、単語をつくっています。

    

 

タブレットを使って、進度に応じてひらがなや文の構成、カタカナなどを学んでいます。

体育朝会

運動会前最後の体育朝会です。

入退場の練習と応援の練習でした。本番までもう少しとなりました。赤白勝利めざしてがんばっています。

 

   

 

なぞなぞです

今日は低学年向けのなぞなぞを用意しました。いくつできるかな?

 

1 これはなんと読むでしょう?

 

道道道道道道道道道道

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は

 

 

道が十こで柔道(じゅうどう)でした。

 

2 ころんだときにしかつけないもちはなんでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は

しりもちでした。

 

 

 

3 ぎゅうどんの中にかくれている、べつの食べものはなんでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は

 

ぎゅ『うどん』でした。

 

 

 

 

4 のむとおこられるジュースってなあに?

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は

 

コーラ(こら~!)でした。

 

またなぞなぞをアップしますのでぜひやってみてくださいね。

清掃もがんばる芝富士っ子です。

毎日、自分たちの使ったところはきれいにします。全校児童が静かに清掃の時間に取り組んでいます。

 

     

 

図書室や教室を丁寧にきれいにしています。ぴかぴかになりましたね。

 

9月18日は敬老の日です

学校行事のスケジュール欄にも載せましたが、9月18日は敬老の日(国民の祝日)で学校はお休みとなります。

敬老の日は、お年寄りをうやまい、長生きをお祝いする日です。

毎年、9月の第三月曜日と法律で決まっています。

誰でも年をとると体力がおとろえてきて、早く動くことが難しくなったり、視力や聴力が落ちてきたりします。骨ももろくなってひじやひざなどがいたくなったりもします。長いことがんばってきたあかしですね。ですから、その長年がんばってきたことをたたえ、お祝いする日となっています。

 

〈お祝いの年齢〉

還暦→60歳

古希→かぞえの年で70歳(唐の詩人杜甫が詠んだ詩「人生七十古来稀なり」に由来しています)

喜寿→かぞえの年で77歳(喜を崩した漢字 㐂 が七を重ねたように見えることから)

傘寿→かぞえの年で80歳(傘の略字 仐を分解すると 八 と 十 になることから)

米寿→かぞえの年で88歳(米の漢字を分解すると 八 十 八 になることから

卒寿→かぞえの年で90歳(卒の略字 卆を分解すると 九 と 十 になることから

白寿→かぞえの年で99歳(百から一をひくと九十九だから)

百寿→かぞえの年で100歳

 

※かぞえ年とは

生まれた年を一さいとして、新年をむかえるたびに一をたす、年の数え方です。

国語の教科書から

昨日は4年生のごんぎつねでしたが、今日は6年生の国語の教科書から、こちらも広く知られている作品で、宮沢賢治の『やまなし』です。小学生のときに読んで、すごく衝撃的だったことを今でも覚えています。こちらも著作権フリーの青空文庫からの引用です。

 

『やまなし』宮沢賢治


+目次

 小さな谷川(たにがわ)の底を写した二枚の青い幻燈(げんとう)です。

一、五月

 二疋(にひき)の蟹(かに)の子供らが青じろい水の底(そこ)で話していました。
『クラムボンはわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
『クラムボンは跳(は)ねてわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
 上の方や横の方は、青くくらく鋼(はがね)のように見えます。そのなめらかな天井(てんじょう)を、つぶつぶ暗い泡(あわ)が流れて行きます。
『クラムボンはわらっていたよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
『それならなぜクラムボンはわらったの。』
『知らない。』
 つぶつぶ泡が流れて行きます。蟹の子供らもぽっぽっぽっとつづけて五六粒(つぶ)泡を吐はきました。それはゆれながら水銀のように光って斜(なな)めに上の方へのぼって行きました。
 つうと銀のいろの腹をひるがえして、一疋の魚が頭の上を過ぎて行きました。
『クラムボンは死んだよ。』
『クラムボンは殺されたよ。』
『クラムボンは死んでしまったよ………。』
『殺されたよ。』
『それならなぜ殺された。』兄さんの蟹は、その右側の四本の脚(あし)の中の二本を、弟の平べったい頭にのせながら云いいました。
『わからない。』
 魚がまたツウと戻もどって下流のほうへ行きました。
『クラムボンはわらったよ。』
『わらった。』
 にわかにパッと明るくなり、日光の黄金(きん)は夢(ゆめ)のように水の中に降って来ました。
 波から来る光の網(あみ)が、底の白い磐(いわ)の上で美しくゆらゆらのびたりちぢんだりしました。泡や小さなごみからはまっすぐな影(かげ)の棒が、斜めに水の中に並(なら)んで立ちました。
 魚がこんどはそこら中の黄金(きん)の光をまるっきりくちゃくちゃにしておまけに自分は鉄いろに変に底びかりして、又また上流(かみ)の方へのぼりました。
『お魚はなぜああ行ったり来たりするの。』
 弟の蟹がまぶしそうに眼(め)を動かしながらたずねました。
『何か悪いことをしてるんだよとってるんだよ。』
『とってるの。』
『うん。』
 そのお魚がまた上流(かみ)から戻って来ました。今度はゆっくり落ちついて、ひれも尾(お)も動かさずただ水にだけ流されながらお口を環(わ)のように円(まる)くしてやって来ました。その影は黒くしずかに底の光の網の上をすべりました。
『お魚は……。』
 その時です。俄(にわ)かに天井に白い泡がたって、青びかりのまるでぎらぎらする鉄砲弾(てっぽうだま)のようなものが、いきなり飛込(とびこ)んで来ました。
 兄さんの蟹ははっきりとその青いもののさきがコンパスのように黒く尖(とが)っているのも見ました。と思ううちに、魚の白い腹がぎらっと光って一ぺんひるがえり、上の方へのぼったようでしたが、それっきりもう青いものも魚のかたちも見えず光の黄金(きん)の網はゆらゆらゆれ、泡はつぶつぶ流れました。
 二疋はまるで声も出ず居すくまってしまいました。
 お父さんの蟹が出て来ました。
『どうしたい。ぶるぶるふるえているじゃないか。』
『お父さん、いまおかしなものが来たよ。』
『どんなもんだ。』
『青くてね、光るんだよ。はじがこんなに黒く尖ってるの。それが来たらお魚が上へのぼって行ったよ。』
『そいつの眼が赤かったかい。』
『わからない。』
『ふうん。しかし、そいつは鳥だよ。かわせみと云うんだ。大丈夫だいじょうぶだ、安心しろ。おれたちはかまわないんだから。』
『お父さん、お魚はどこへ行ったの。』
『魚かい。魚はこわい所へ行った』
『こわいよ、お父さん。』
『いいいい、大丈夫だ。心配するな。そら、樺(かば)の花が流れて来た。ごらん、きれいだろう。』
 泡と一緒いっしょに、白い樺の花びらが天井をたくさんすべって来ました。
『こわいよ、お父さん。』弟の蟹も云いました。
 光の網はゆらゆら、のびたりちぢんだり、花びらの影はしずかに砂をすべりました。


二、十二月

 蟹の子供らはもうよほど大きくなり、底の景色(けしき)も夏から秋の間にすっかり変わりました。
 白い柔やわらかな円石(まるいし)もころがって来、小さな錐(きり)の形の水晶すいしょうの粒や、金雲母(きんうんも)のかけらもながれて来てとまりました。
 そのつめたい水の底まで、ラムネの瓶びんの月光がいっぱいに透すきとおり天井では波が青じろい火を、燃したり消したりしているよう、あたりはしんとして、ただいかにも遠くからというように、その波の音がひびいて来るだけです。
 蟹の子供らは、あんまり月が明るく水がきれいなので睡(ねむ)らないで外に出て、しばらくだまって泡をはいて天上の方を見ていました。
『やっぱり僕ぼくの泡は大きいね。』
『兄さん、わざと大きく吐(は)いてるんだい。僕だってわざとならもっと大きく吐けるよ。』
『吐いてごらん。おや、たったそれきりだろう。いいかい、兄さんが吐くから見ておいで。そら、ね、大きいだろう。』
『大きかないや、おんなじだい。』
『近くだから自分のが大きく見えるんだよ。そんなら一緒に吐いてみよう。いいかい、そら。』
『やっぱり僕の方大きいよ。』
『本当かい。じゃ、も一つはくよ。』
『だめだい、そんなにのびあがっては。』
 またお父さんの蟹が出て来ました。
『もうねろねろ。遅(おそ)いぞ、あしたイサドへ連れて行かんぞ。』
『お父さん、僕たちの泡どっち大きいの』
『それは兄さんの方だろう』
『そうじゃないよ、僕の方大きいんだよ』弟の蟹は泣きそうになりました。
 そのとき、トブン。
 黒い円い大きなものが、天井から落ちてずうっとしずんで又上へのぼって行きました。キラキラッと黄金きんのぶちがひかりました。
『かわせみだ』子供らの蟹は頸くびをすくめて云いました。
 お父さんの蟹は、遠めがねのような両方の眼をあらん限り延ばして、よくよく見てから云いました。
『そうじゃない、あれはやまなしだ、流れて行くぞ、ついて行って見よう、ああいい匂においだな』
 なるほど、そこらの月あかりの水の中は、やまなしのいい匂いでいっぱいでした。
 三疋はぼかぼか流れて行くやまなしのあとを追いました。
 その横あるきと、底の黒い三つの影法師(かげぼうし)が、合せて六つ踊(おど)るようにして、やまなしの円い影を追いました。
 間もなく水はサラサラ鳴り、天井の波はいよいよ青い焔(ほのお)をあげ、やまなしは横になって木の枝(えだ)にひっかかってとまり、その上には月光の虹(にじ)がもかもか集まりました。
『どうだ、やっぱりやまなしだよ、よく熟している、いい匂(にお)いだろう。』
『おいしそうだね、お父さん』
『待て待て、もう二日ばかり待つとね、こいつは下へ沈(しず)んで来る、それからひとりでにおいしいお酒ができるから、さあ、もう帰って寝(ね)よう、おいで』
 親子の蟹は三疋自分等らの穴に帰って行きます。
 波はいよいよ青じろい焔をゆらゆらとあげました、それは又金剛石(こんごうせき)の粉をはいているようでした。

        *

 私の幻燈(げんとう)はこれでおしまいであります。

 

青空文庫 https://www.aozora.gr.jp/

国語の教科書から

秋の夜長に、お話しをひとつ親子で読んでみてはいかがでしょうか。

4年生の国語の時間に学習している、新見南吉さん著の『ごんぎつね』です。

著作権フリーの青空文庫からの引用です。懐かしいなぁという方も、初めての方も、ぜひ。

 

『ごんぎつね』 新見南吉    

 これは、私わたしが小さいときに、村の茂平(もへい)というおじいさんからきいたお話です。
 むかしは、私たちの村のちかくの、中山(なかやま)というところに小さなお城があって、中山さまというおとのさまが、おられたそうです。
 その中山から、少しはなれた山の中に、「ごんぎつね」というきつねがいました。ごんは、一人ひとりぼっちの小ぎつねで、しだの一ぱいしげった森の中に穴をほって住んでいました。そして、夜でも昼でも、あたりの村へ出てきて、いたずらばかりしました。はたけへ入って芋(いも)をほりちらしたり、菜種(なたね)がらの、ほしてあるのへ火をつけたり、百姓家(ひゃくしょうや)の裏手(うらて)につるしてあるとんがらしをむしりとっていったり、いろんなことをしました。
 ある秋(あき)のことでした。二、三日雨がふりつづいたその間(あいだ)、ごんは、外へも出られなくて穴(あな)の中にしゃがんでいました。
 雨があがると、ごんは、ほっとして穴からはい出ました。空はからっと晴れていて、百舌鳥(もず)の声がきんきん、ひびいていました。
 ごんは、村の小川のつつみまで出て来ました。あたりの、すすきの穂(ほ)には、まだ雨のしずくが光っていました。川は、いつもは水が少すくないのですが、三日もの雨で、水が、どっとましていました。ただのときは水につかることのない、川べりのすすきや、萩(はぎ)の株(かぶ)が、きいろくにごった水に横だおしになって、もまれています。ごんは川下(かわしも)の方へと、ぬかるみみちを歩いていきました。
 ふと見ると、川の中に人がいて、何かやっています。ごんは、見つからないように、そうっと草の深いところへ歩きよって、そこからじっとのぞいてみました。
「兵十(ひょうじゅう)だな」と、ごんは思いました。兵十はぼろぼろの黒いきものをまくし上げて、腰(こし)のところまで水にひたりながら、魚をとる、はりきりという、網(あみ)をゆすぶっていました。はちまきをした顔の横っちょうに、まるい萩の葉が一まい、大きな黒子(ほくろ)みたいにへばりついていました。
 しばらくすると、兵十は、はりきり網の一ばんうしろの、袋(ふくろ)のようになったところを、水の中からもちあげました。その中には、芝の根や、草の葉や、くさった木ぎれなどが、ごちゃごちゃはいっていましたが、でもところどころ、白いものがきらきら光っています。それは、ふというなぎの腹や、大きなきすの腹でした。兵十は、びくの中へ、そのうなぎやきすを、ごみと一しょにぶちこみました。そして、また、袋の口をしばって、水の中へ入れました。
 兵十はそれから、びくをもって川から上あがりびくを土手どてにおいといて、何をさがしにか、川上かわかみの方へかけていきました。
 兵十がいなくなると、ごんは、ぴょいと草の中からとび出して、びくのそばへかけつけました。ちょいと、いたずらがしたくなったのです。ごんはびくの中の魚をつかみ出しては、はりきり網のかかっているところより下手しもての川の中を目がけて、ぽんぽんなげこみました。どの魚も、「とぼん」と音を立てながら、にごった水の中へもぐりこみました。
 一ばんしまいに、太いうなぎをつかみにかかりましたが、何しろぬるぬるとすべりぬけるので、手ではつかめません。ごんはじれったくなって、頭をびくの中につッこんで、うなぎの頭を口にくわえました。うなぎは、キュッと言ってごんの首へまきつきました。そのとたんに兵十が、向うから、
「うわあぬすっときつねめ」と、どなりたてました。ごんは、びっくりしてとびあがりました。うなぎをふりすててにげようとしましたが、うなぎは、ごんの首にまきついたままはなれません。ごんはそのまま横っとびにとび出して一しょうけんめいに、にげていきました。
 ほら穴の近くの、はんの木の下でふりかえって見ましたが、兵十は追っかけては来ませんでした。
 ごんは、ほっとして、うなぎの頭をかみくだき、やっとはずして穴のそとの、草の葉の上にのせておきました。

 十日(とおか)ほどたって、ごんが、弥助(やすけ)というお百姓の家の裏を通りかかりますと、そこの、いちじくの木のかげで、弥助の家内(かない)が、おはぐろをつけていました。鍛冶屋(かじや)の新兵衛(しんべえ)の家のうらを通ると、新兵衛の家内が髪(かみ)をすいていました。ごんは、
「ふふん、村に何かあるんだな」と、思いました。
「何なんだろう、秋祭(あきまつり)かな。祭なら、太鼓や笛の音がしそうなものだ。それに第一、お宮(みや)にのぼりが立つはずだが」
 こんなことを考えながらやって来ますと、いつの間まにか、表に赤い井戸のある、兵十の家の前へ来ました。その小さな、こわれかけた家の中には、大勢(おおぜい)の人があつまっていました。よそいきの着物を着て、腰に手拭(てぬぐ)いをさげたりした女たちが、表のかまどで火をたいています。大きな鍋(なべ)の中では、何かぐずぐず煮えていました。
「ああ、葬式(そうしき)だ」と、ごんは思いました。
「兵十の家のだれが死んだんだろう」
 お午ひるがすぎると、ごんは、村の墓地(ぼち)へ行って、六地蔵(ろくじぞう)さんのかげにかくれていました。いいお天気で、遠く向うには、お城の屋根瓦(やねがわら)が光っています。墓地には、ひがん花ばなが、赤い布きれのようにさきつづいていました。と、村の方から、カーン、カーン、と、鐘(かね)が鳴って来ました。葬式の出る合図(あいず)です。
 やがて、白い着物を着た葬列のものたちがやって来るのがちらちら見えはじめました。話声(はなしごえ)も近くなりました。葬列は墓地へはいって来ました。人々が通ったあとには、ひがん花が、ふみおられていました。
 ごんはのびあがって見ました。兵十が、白いかみしもをつけて、位牌(いはい)をささげています。いつもは、赤いさつまいもみたいな元気のいい顔が、きょうは何だかしおれていました。
「ははん、死んだのは兵十のおっ母かあだ」
 ごんはそう思いながら、頭をひっこめました。
 その晩、ごんは、穴の中で考えました。
「兵十のおっ母は、床とこについていて、うなぎが食べたいと言ったにちがいない。それで兵十がはりきり網をもち出したんだ。ところが、わしがいたずらをして、うなぎをとって来てしまった。だから兵十は、おっ母にうなぎを食べさせることができなかった。そのままおっ母は、死んじゃったにちがいない。ああ、うなぎが食べたい、うなぎが食べたいとおもいながら、死んだんだろう。ちょッ、あんないたずらをしなけりゃよかった。」

 兵十が、赤い井戸のところで、麦をといでいました。
 兵十は今まで、おっ母と二人ふたりきりで、貧(まず)しいくらしをしていたもので、おっ母が死んでしまっては、もう一人ぼっちでした。
「おれと同じ一人ぼっちの兵十か」
 こちらの物置ものおきのうしろから見ていたごんは、そう思いました。
 ごんは物置のそばをはなれて、向うへいきかけますと、どこかで、いわしを売る声がします。
「いわしのやすうりだアい。いきのいいいわしだアい」
 ごんは、その、いせいのいい声のする方へ走っていきました。と、弥助(やすけ)のおかみさんが、裏戸口(うらとぐち)から、
「いわしをおくれ。」と言いました。いわし売うりは、いわしのかごをつんだ車を、道ばたにおいて、ぴかぴか光るいわしを両手でつかんで、弥助の家の中へもってはいりました。ごんはそのすきまに、かごの中から、五、六ぴきのいわしをつかみ出して、もと来た方へかけだしました。そして、兵十の家の裏口から、家の中へいわしを投げこんで、穴へ向むかってかけもどりました。途中の坂の上でふりかえって見ますと、兵十がまだ、井戸のところで麦をといでいるのが小さく見えました。
 ごんは、うなぎのつぐないに、まず一つ、いいことをしたと思いました。
 つぎの日には、ごんは山で栗くりをどっさりひろって、それをかかえて、兵十の家へいきました。裏口からのぞいて見ますと、兵十は、午飯ひるめしをたべかけて、茶椀(ちゃわん)をもったまま、ぼんやりと考えこんでいました。へんなことには兵十の頬ほっぺたに、かすり傷がついています。どうしたんだろうと、ごんが思っていますと、兵十がひとりごとをいいました。
「一たいだれが、いわしなんかをおれの家へほうりこんでいったんだろう。おかげでおれは、盗人(ぬすびと)と思われて、いわし屋のやつに、ひどい目にあわされた」と、ぶつぶつ言っています。
 ごんは、これはしまったと思いました。かわいそうに兵十は、いわし屋にぶんなぐられて、あんな傷までつけられたのか。
 ごんはこうおもいながら、そっと物置の方へまわってその入口に、栗をおいてかえりました。
 つぎの日も、そのつぎの日もごんは、栗をひろっては、兵十の家へもって来てやりました。そのつぎの日には、栗ばかりでなく、まつたけも二、三ぼんもっていきました。

 月のいい晩でした。ごんは、ぶらぶらあそびに出かけました。中山さまのお城の下を通ってすこしいくと、細い道の向うから、だれか来るようです。話声が聞えます。チンチロリン、チンチロリンと松虫が鳴いています。
 ごんは、道の片がわにかくれて、じっとしていました。話声はだんだん近くなりました。それは、兵十と加助かすけというお百姓でした。
「そうそう、なあ加助」と、兵十がいいました。
「ああん?」
「おれあ、このごろ、とてもふしぎなことがあるんだ」
「何が?」
「おっ母が死んでからは、だれだか知らんが、おれに栗やまつたけなんかを、まいにちまいにちくれるんだよ」
「ふうん、だれが?」
「それがわからんのだよ。おれの知らんうちに、おいていくんだ」
 ごんは、ふたりのあとをつけていきました。
「ほんとかい?」
「ほんとだとも。うそと思うなら、あした見に来こいよ。その栗を見せてやるよ」
「へえ、へんなこともあるもんだなア」
 それなり、二人はだまって歩いていきました。
 加助がひょいと、後うしろを見ました。ごんはびくっとして、小さくなってたちどまりました。加助は、ごんには気がつかないで、そのままさっさとあるきました。吉兵衛きちべえというお百姓の家まで来ると、二人はそこへはいっていきました。ポンポンポンポンと木魚もくぎょの音がしています。窓の障子しょうじにあかりがさしていて、大きな坊主頭(ぼうずあたま)がうつって動いていました。ごんは、
「おねんぶつがあるんだな」と思いながら井戸のそばにしゃがんでいました。しばらくすると、また三人ほど、人がつれだって吉兵衛の家へはいっていきました。お経を読む声がきこえて来ました。

 ごんは、おねんぶつがすむまで、井戸のそばにしゃがんでいました。兵十と加助は、また一しょにかえっていきます。ごんは、二人の話をきこうと思って、ついていきました。兵十の影法師(かげぼうし)をふみふみいきました。
 お城の前まで来たとき、加助が言い出しました。
「さっきの話は、きっと、そりゃあ、神さまのしわざだぞ」
「えっ?」と、兵十はびっくりして、加助の顔を見ました。
「おれは、あれからずっと考えていたが、どうも、そりゃ、人間じゃない、神さまだ、神さまが、お前がたった一人になったのをあわれに思わっしゃって、いろんなものをめぐんで下さるんだよ」
「そうかなあ」
「そうだとも。だから、まいにち神さまにお礼を言うがいいよ」
「うん」
 ごんは、へえ、こいつはつまらないなと思いました。おれが、栗や松たけを持っていってやるのに、そのおれにはお礼をいわないで、神さまにお礼をいうんじゃア、おれは、引き合わないなあ。

 そのあくる日もごんは、栗をもって、兵十の家へ出かけました。兵十は物置で縄なわをなっていました。それでごんは家の裏口から、こっそり中へはいりました。
 そのとき兵十は、ふと顔をあげました。ときつねが家の中へはいったではありませんか。こないだうなぎをぬすみやがったあのごんぎつねめが、またいたずらをしに来たな。
「ようし。」
 兵十は立ちあがって、納屋なやにかけてある火縄銃(ひなわじゅう)をとって、火薬(かやく)をつめました。
 そして足音をしのばせてちかよって、今戸口を出ようとするごんを、ドンと、うちました。ごんは、ばたりとたおれました。兵十はかけよって来ました。家の中を見ると、土間(どま)に栗が、かためておいてあるのが目につきました。
「おや」と兵十は、びっくりしてごんに目を落しました。
「ごん、お前まいだったのか。いつも栗をくれたのは」
 ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。
 兵十は火縄銃をばたりと、とり落しました。青い煙が、まだ筒口(つつぐち)から細く出ていました。

 

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クラブ活動

今日は4年生以上はクラブ活動の時間がありました。

それぞれのクラブに分かれて活動を行います。普段の教室を離れて、違う仲間と楽しく過ごす貴重な時間です。

科学クラブではバスボムをつくりました。きれいな色で完成させることができました。

 

体育朝会

まだまだ暑い日が続きますが、朝から全校で運動会練習です。短い時間で区切って水分補給をしながら行進や入退場の練習に取り組みました。1年生にとっては最初の、6年生にとっては最後の運動会です。それぞれひとりひとりが目標を持って種目や係活動をがんばっています。

運動会練習

運動会本番まで楽しみは取っておくことにして、遠くから一枚。毎日一生懸命練習をして本番に備えます。どの学年も真剣に取り組んでいます。ぜひ楽しみにしていてください。